小説・文学

「革命前夜」須賀しのぶ 著 おすすめ書評

革命前夜 須賀しのぶ著
ミステリー要素あり、歴史的瞬間のワクワクあり、ロマンスあり。そして何より活字から音楽が流れてくる見事な描写を体験してほしい。葛藤が決意に変化する感動を味わう1冊

 「きっかけ」…なぜ読み始めたか?

ずばり、タイトル買いです。
革命という言葉だけで、血がたぎるような感覚を覚えて、惹かれてしまいました。

その前夜、っていったい何だろう?と疑問に思ったのも、きっかけの一つですね。

私は文庫版を書店で偶然見かけて、タイトルに惹かれました。
私が大好きな国の一つドイツ(当時の東ドイツ)が舞台で、音楽に関係のある話でした。
二つの好きなものが組み合わさったら、これは絶対私が好きなやつだ、と惹かれて読みました。

この本が出版された2015年は、ちょうど私はヨーロッパに駐在しており、この本の存在を知らなかったのです。
結論から言えば、もっと早く知りたかった、この本に今出会えてよかったと思えた1冊でした。

この本の魅力をご紹介します。

鈍行ちゃん
鈍行ちゃん
タイトルだけで、いったい何が起きるの?ってドキドキしたんだ!

「学び」…この本で学べること

小説の良いところは、私は次の3点だと思っています。

小説のメリット

1.登場人物の人生をそのまま追体験できる。
2.登場人物の感性や思考がダイレクトに頭に入ってくる。
3.自分の人生、価値観、性格を内省することができる。

これは中々、自己啓発本では学べないことだと思います。
知識をインプットすることを第一とするのではなく、小説からは、登場人物と照らし合わせて自分の価値観はどうなっているのか、と考えることができるのです。

それらを踏まえて、この本でとても勉強になった次の3点をご紹介しますね。

 

葛藤の後に、光が見える

この本で一番、私が勉強になり、救われたと感じる部分です。
長年戦ってきたそれぞれの葛藤の後に、答えを掴み、現状を変えるための決断をする。
その強さを人は身に着ける、ということを教えてもらいました。

 

このお話の主人公は、マヤマというピアニストを志す日本人留学生です。

歴史的音楽が生まれた国・東ドイツに惹かれて、マヤマが音大留学をするところから始まります。
東ドイツ(略してDDR)は、ベルリンの壁崩壊の前の社会主義国であり、西側諸国と違い、時が止まったような感覚があります。

しかし時代の大きな流れは、永遠に時を止めることはせず、マヤマをはじめ、周辺の登場人物も、大きな変革へ巻き込んでいきます。

 

主人公のマヤマは、あこがれの国に音楽留学をしたものの、スランプに陥ってしまい、自分の音(ピアノ演奏)が分からなくなってしまうのです。

マヤマが惹かれるオルガニストのクリスタは、自分の志がはっきりしていたものの、とある理由から、すべてを諦めて、息を潜めるかのような人生を送ってきました。

留学生のラカトシュは、自分がやりたい音楽のために、過激な行動も辞さないほど、音楽を極めて試行錯誤をしていきます。

 

登場人物のほとんどが、それぞれの葛藤を抱えていた、ということが後半部分に明かされていきます。
ミステリー要素も含んでいるため、どの葛藤が、いかに登場人物に関わってくるのかを読み解いていくのが面白いです。

そして最後には、それぞれの葛藤がどう終着していくのか。
それがこの本の醍醐味であり、一番私が勉強になった部分です。

私はこの本を電車の中で読んでいたのですが、後半部分は読んでいるうちに止まらなくなり、涙があふれていました。
とても心に響き、励まされ救われたのです。

自己啓発では味わえない学びを、ぜひ本書で体験してみて下さい。

鈍行ちゃん
鈍行ちゃん
登場人物の姿を通して、自分に向き合うことができた作品だったなぁ…

読んでいるだけで音楽が聞こえてくる描写

本書には、マヤマや留学生たちが奏でるクラシック曲がふんだんに登場します。

曲名だけではなく、どんな構成から始まり、その音はいかに動き、どんな印象なのかという描写を、ぜひ本書で体験してみて下さい。
活字で読むことにより、文字が耳に反射して、脳から音楽が再生されるような感覚を楽しめます
そして答え合わせをするように、思わず音楽を聴いてみたくなるはずです。

私は、読者の方がまとめたSpotifyの「革命前夜」というプレイリストをを聴きながら、本書を読んでみました。

音楽の描写はもちろん、教会の建物の高さや、街の雰囲気まで、作品の様子がありありとクラシック曲に乗って脳内で再現できるので、おすすめです。

音楽好きな方は、読んで損のない1冊と言っていいでしょう。

鈍行ちゃん
鈍行ちゃん
ドイツの雰囲気はこんな感じなのかなって想いを馳せちゃう。

リアルな歴史に詳しくなる

本書を読むと、東ドイツから見た世論、暮らしぶりや、人々の気持ちを学べることができます。

ベルリンの壁崩壊よりも後に生まれた世代、もしくはずっと日本にいた方の場合、歴史の知識があっても、なかなか当時の様子が分からないはずです。

私が特にお気に入りなのは、東ドイツでのトイレットペーパーの描写が印象に残っています。
「僕のおしりを絶叫させた紙やすり」という部分があり、思わず笑ってしまいました。
品質が悪くて、流通量も少ない時代だったのですね。

小説のメリットは、その時代にタイムスリップできる、というところだと思います。
映像とは違い、小説の文字情報から、脳内で世界を再現することにより、アウトプットを強烈に残すことができます。

鈍行ちゃん
鈍行ちゃん
読むと、脳内で映像を組み立てるから、頭に内容が残るんだよね。

「処方箋」…こんな時にぴったり

処方箋

スランプに悩んでいるとき

・長年やりたいことがあるのに、勇気が出ないとき

・好きなことを思いっきりやりたいとき

別世界に浸りたいとき

やりたいことがあるのに、できないという葛藤を抱えている、すべての人におすすめしたい1冊です。
ぜひ最後まで読んでみて、その感動を味わってみて下さい。

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ABOUT ME
鈍行ちゃん
アラサーの読書ばかり女。 今までの人生を読書によってサバイブしてきた。 不登校経験後、シェアハウスでの中学生活を経て、海外へ飛び出し留学や短期駐在をエンジョイした。 日本に帰国後、次なる目標と夢を模索中。 同職異業種の転職3回し、人生やメンタルを本に支えられている。 旅行、語学勉強、音楽、お笑いが大好き。 管理人の名前は、とあるお笑い芸人さんから名付けてもらった。